言問ねこ塾長日記
言問学舎舎主・小田原漂情のブログです。Vol.332 「鶴を折る」ことを
2024年08月06日
お恥ずかしい話だが、手先が器用な方ではない。子どもの頃は「不器用」と言った方が正しかった。だから、61歳6ヶ月になる今日のこの日まで、鶴(折り鶴)を折ったことがなかった。もちろん子どもの頃折り方を教えてもらったことはあるのだが、単純な二つ折りから先へ進めず、挫折した、というより投げ出したのであった。
しかし昨年『国語のアクティブラーニング 音読で育てる読解力 小学5年生以上対象3』を刊行するに当たり、広島平和記念資料館所蔵(展示)の佐々木禎子さんの写真を掲載させていただくこととなって、これではいけないと思い至った。何よりもまず、禎子さんが精一杯の願いをこめて折られたという(鶴を千羽折れば病気が治る、という言い伝えによるという)鶴を、自分で折ってみなければ。そう考えたのである。
昨年は、そもそもが超繁忙期であり、内容が重く許諾申請等も煩雑な出版2点(いま1点は『スーパー読解「舞姫」』)を終えたせわしさと疲れもあって、「みずから鶴を折る」という目標を実行することはできなかった。それがやむを得ないことだったとすれば、今年こそ、私自身が鶴を折ることに挑戦しなければならない。思い立ったのは比較的早い時期だったが、4日日曜日に家内に教えてもらいながら、見よう見まねで折ってみることにした。
やってみると、何か所かわかりにくいところがあり、子どもの頃に挫折したのはここだろう、と察しがついた。しかし今回は投げ出すわけにいかない。折り方のマニュアルも用意し、わからないところは塾生の女子高校生たちにも教えを乞うて、今日6日にようやく何とか折ることのできたのが、写真のものである。不細工な点はおゆるしいただきたい。
鶴を折る過程で、二箇所、難しいところがある。禎子さんは、薬やキャラメルの包み紙などで鶴を折られたと読んだことがあるが、そのように小さな紙で、よくその箇所が折れるものだと感嘆した。また、鶴を折る行為に病気回復の祈りをこめた禎子さんのお心の一端が、わかるような気がした。いや、それはおこがましい。禎子さんのことを多少なりとも書かせていただく立場として、鶴を折るという行為を身につけることは避けて通れないことであり、ようやくその端緒についた、それだけのことにすぎないのだ。
「鶴を折る」ことを、今後私が禎子さんと広島、長崎の原爆の犠牲者のことを語り、伝える営為の中の不可欠の要素としよう。そのことを、今朝8時から広島で行なわれた「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」を例年通りに視聴しながら決意した。今日新しく奉納された名簿の、この一年間に亡くなられた方の人数は5,079人、名簿にお名前のある死没者の総数は344,306人になったとのことだ。また、「被爆者」の平均年齢が85、5歳を超えたという。受け継がなければならないわれわれに、重い覚悟が求められる。
『国語のアクティブラーニング 音読で育てる読解力 小学5年生以上対象3』中、「忘れまい、八月六日の広島の朝を」で、小・中・高生に広島のことを伝えています
https://www.youtube.com/watch?v=jzNjIy0_21Y 「長崎の鐘・新しき」小田原漂情歌
令和6(2024)年8月6日
小田原漂情
Vol.331 国語のアクティブラーニング 第一段階の成就とさらなる新展開
2024年07月11日
2017年2月7日投稿の本欄「Vol.262 国語のアクティブラーニング‐おくればせながら今年の抱負として」を、コンテンツとして現在も多くのみなさまにお読みいただいております。その記事からは7年、『国語のアクティブラーニング 音読で育てる読解力』の第1巻刊行からも5年かかりましたが、本年5月にその完結篇(最終巻)「小学2年〜4年対応3」を出版し、2017年の記事で目標として掲げた、「真の国語」を教える教材の第1のシリーズは、出しおおせました。第一段階のの志は成就したこととなります。
このあと、「真の国語」を教える国語教材は、昨年出版した『スーパー読解「舞姫」』をシリーズ第1巻とし、来年(2025年)第2巻として『スーパー読解「山月記」』を刊行する計画です。そして中・高生が教科書で読む、国語教育の場に登場する機会の多い名作を対象にシリーズ化して行くことを、ひきつづき「真の国語」を教える国語教材の大きな志として掲げます。
閑話休題。言問学舎は「真の国語」を教えることをめざす学習塾があくまで主体ですが、企業体としては出版社でもあります。その出版社の営為として、今年はタイムリーな本『さらば北陸本線 鉄路の韻き』を出すことで、出版の第2段階へ進むことを、「PR TIMES STORY」で語らせていただきました。昨日夜公開されたものです。ぜひお目通し下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。
https://prtimes.jp/story/detail/DbD62zFv54x
PR TIMES STORY
「真の国語」を教える本を作り上げ、さらにステップアップを図ります
『さらば北陸本線 鉄路の韻き』は、Amazonでは販売開始となっており7月16日から発送、言問学舎での販売も16日からです。取次(地方・小出版流通センター)へも16日に搬入されますので、来週後半には一部大型書店には配本される見通しです。また書店(ネット書店含む)からの注文も、来週半ば以降は可能になります。
あわせてよろしくお願い申し上げます。
◇電話番号は以下の通りです。
03‐5805‐7817 舎主・小田原漂情までお願いします。
メールはフォームよりお願いします。
言問学舎の生のすがたは、こちらの動画からもご覧いただけます!
https://www.youtube.com/watch?v=c2OdlIl8T44
国語の勉強をお手伝いする国語専門サイト・国語力.com
http://www.kokugoryoku.com
このあと、「真の国語」を教える国語教材は、昨年出版した『スーパー読解「舞姫」』をシリーズ第1巻とし、来年(2025年)第2巻として『スーパー読解「山月記」』を刊行する計画です。そして中・高生が教科書で読む、国語教育の場に登場する機会の多い名作を対象にシリーズ化して行くことを、ひきつづき「真の国語」を教える国語教材の大きな志として掲げます。
閑話休題。言問学舎は「真の国語」を教えることをめざす学習塾があくまで主体ですが、企業体としては出版社でもあります。その出版社の営為として、今年はタイムリーな本『さらば北陸本線 鉄路の韻き』を出すことで、出版の第2段階へ進むことを、「PR TIMES STORY」で語らせていただきました。昨日夜公開されたものです。ぜひお目通し下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。
https://prtimes.jp/story/detail/DbD62zFv54x
PR TIMES STORY
「真の国語」を教える本を作り上げ、さらにステップアップを図ります
『さらば北陸本線 鉄路の韻き』は、Amazonでは販売開始となっており7月16日から発送、言問学舎での販売も16日からです。取次(地方・小出版流通センター)へも16日に搬入されますので、来週後半には一部大型書店には配本される見通しです。また書店(ネット書店含む)からの注文も、来週半ば以降は可能になります。
あわせてよろしくお願い申し上げます。
◇電話番号は以下の通りです。
03‐5805‐7817 舎主・小田原漂情までお願いします。
メールはフォームよりお願いします。
言問学舎の生のすがたは、こちらの動画からもご覧いただけます!
https://www.youtube.com/watch?v=c2OdlIl8T44
国語の勉強をお手伝いする国語専門サイト・国語力.com
http://www.kokugoryoku.com
Vol.330 信州白樺湖考‐「夜の湖」に寄せて
2024年04月10日
私ごとからはじめさせていただく。若い頃、八ヶ岳や蓼科に事業所を持つ会社でお世話になっていた。とくに蓼科にある貸別荘のフロントで社会人生活のスタートを切ったので、その年のゴールデンウィークと、翌年の正月明け、しばらくそのフロントがあるゲストハウスに滞在したのだった。2階に宿直室のような寝室のスペースがあり、屋根裏のようなそこの窓から遠くを眺めると、夜の闇の中に、白樺湖の一角が煌々とかがやいているのが見えた。印象的な光景だった。時に酒を酌みつつ、その光景を見ながら歌ったのが、昭和30年に藤山一郎先生がお歌いになった「夜の湖」(藤浦 洸作詞、古賀政男作曲)である。
今日、その「夜の湖」を歌わせていただき、いつものようにYouTubeに投稿した。
https://www.youtube.com/watch?v=l4XYoXOYEFA 小田原漂情歌唱 夜の湖
この歌について語る時、おのずと思い出され、口を衝いて出たのが、白樺湖がバブル崩壊後、大型ホテルの廃業で生じた廃墟などが取りざたされ、その面が変に注目されていたことだった。当地でリゾート業の社員としての人生をスタートさせ、信州を深く愛する身として、私も白樺湖が廃墟ばかりに目を向けられることには心を痛めていた。しかし昨年、ネットのニュースでだが、白樺湖一帯の観光開発の長年のリーダーである池の平ホテルの現在の社長さんが、廃墟を撤去し、白樺湖を新たに魅力あるリゾートとして再生しようと活動されていることを知り、心底うれしく思ったものだ。そこで「夜の湖」のあとの語りで、そのことを率直に語らせていただいた。
昭和前期の流行歌を歌わせていただき、YouTubeで公開するのは、その時期の流行歌に人生を救われた者としての恩返しと、日本の文化の継承の意図のほか、言葉を正しく用い、考えを正しく述べる、「真の国語」としての活動の一端でもある。そして人生を、またかかわりのあった人々や自然、地域を大事にし、思いを語ることが、広い意味で子どもたちのため、教育の一環にもなるという信念に基づいてのことである。白樺湖に関する思いを表明することは、そのまたとない機会であると考え、一文をしたためた次第である。
今日、その「夜の湖」を歌わせていただき、いつものようにYouTubeに投稿した。
https://www.youtube.com/watch?v=l4XYoXOYEFA 小田原漂情歌唱 夜の湖
この歌について語る時、おのずと思い出され、口を衝いて出たのが、白樺湖がバブル崩壊後、大型ホテルの廃業で生じた廃墟などが取りざたされ、その面が変に注目されていたことだった。当地でリゾート業の社員としての人生をスタートさせ、信州を深く愛する身として、私も白樺湖が廃墟ばかりに目を向けられることには心を痛めていた。しかし昨年、ネットのニュースでだが、白樺湖一帯の観光開発の長年のリーダーである池の平ホテルの現在の社長さんが、廃墟を撤去し、白樺湖を新たに魅力あるリゾートとして再生しようと活動されていることを知り、心底うれしく思ったものだ。そこで「夜の湖」のあとの語りで、そのことを率直に語らせていただいた。
昭和前期の流行歌を歌わせていただき、YouTubeで公開するのは、その時期の流行歌に人生を救われた者としての恩返しと、日本の文化の継承の意図のほか、言葉を正しく用い、考えを正しく述べる、「真の国語」としての活動の一端でもある。そして人生を、またかかわりのあった人々や自然、地域を大事にし、思いを語ることが、広い意味で子どもたちのため、教育の一環にもなるという信念に基づいてのことである。白樺湖に関する思いを表明することは、そのまたとない機会であると考え、一文をしたためた次第である。